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人生の学校

Scuplture: Untitled, 2016 by Camille Kachani. Mixed media, 80cm x 120cm x 30cm Courtesy of Zipper Galeria www.zippergaleria.com.br
Scuplture: Untitled, 2016 by Camille Kachani. Mixed media, 80cm x 120cm x 30cm Courtesy of Zipper Galeria www.zippergaleria.com.br

 サティシュ・クマールがシューマッハ・カレッジ 30 周年を祝福します。

 翻訳:竹田 真理 

 

 現在の教育システムは、この工業化時代の必要性に合うように計画され、生産、消費、経済成長が今日の課題となりました。今、私たちは環境の時代という新たな時代に入り、若者に人との調和、大切な地球との調和の中で生きるための知識や技術を身に付けさせる必要があります。この新しい教育理論では、再生文化をその中心に置きます。

 シューマッハ・カレッジでは、まさにそのような教育モデルを実験的に試してきていて、環境と経済を一緒に勉強し、科学と精神性は 1 つの真実の 2 つの側面であり、自然から学ぶことは人間から学ぶことと同じくらい大切で、体験的に学ぶことは広く普及している精神です。言葉を変えると、シューマッハ・カレッジで学ぶということは、頭、心、手の教育を通し、人間のコミュニティと同じくらい地球のコミュニティを学ぶということです。

 E.F. シューマッハは、雑誌「リサージェンス」の編集者のひとりでした。1973 年に私を説得して、イギリスに残り「リサージェンス」を編集するようにした人です。私たちが大学に彼の名前を付けた理由は 2 つあります。はじめに、環境の時代には、全ての組織はヒューマン・スケール(人間規模)であるべきです。経済や政治の権力は、分散されるべきです。「スモール・イズ・ビューティフル」という信念は、シューマッハが同じ題名の本の中で提唱したものであり、新たな枠組みの中で中心に置かねばならない事柄です。組織が人間規模である時、無駄が減り、汚染が減り、人間と自然界との関係が良くなります。経済は、人間と地球の問題のように、整っていく、とシューマッハは確信しています。

 大学にシューマッハと名付けた理由の 2 つ目は、彼のエッセイ『仏教経済学』でした。彼の信念では、道徳心と精神性が欠けた経済学は、自然と人間を目標達成の手段に変えますが、目標とは経済成長です。私たちの理解では、道徳心や精神性の観点があると、経済は目的を達成します。目的とは、人々がより良く生きること、また私たちの大切な地球が完全性を保つことです。シューマッハは、経済学に道徳心、環境、精神性を取り入れた主流の中では珍しい経済学者でした。

 スモール・イズ・ビューティフル、そして仏教経済学。これら 2 つの極めて重要な理想という土台の上に、環境時代にある私たちの教育が築かれています。これは、シューマッハ・カレッジでこれまで 30 年間実践してきた教育の形です。

 生徒の多くは、自分たちの国(ブラジル、インド、中国、日本、ベルギーを含む)で同じような教育プログラムを始めています。このような人間規模の教育事業が始まり、世界中で繁栄することが私たちの希望であり、工業時代に必要とされた時代遅れの教育組織はやがて衰退することを願います。

 

サティシュ・クマールはシューマッハ・カレッジの共同創設者であり、『Transformative Learning: Reflections on 30 Years of Head, Heart, and Hands at Schumacher College』の共編者。